耐震補強とは?
耐震補強とは既存建物に対して耐震壁・ブレース・ダンパー等を負荷することで,地震に対する性能を向上させることをいいます。
耐震性能には以下の方向性があります。
- 建物の耐力を向上させる方法(耐力UP)
- ねばりをもたせる方法(性UP)
- 地震の揺れを制御する方法(免震・制震)
耐震の例




耐震診断
1995年の兵庫県南部地震で、古い建物(既存不適格建物)が多くの被害を受けました。こうしたことから、「建築物の耐震改修の促進法に関する法律(耐震改修促進法)」が制定され、現在全国的に既存建築物の耐震診断が実施されています。 診断方法は原則として1次・2次・3次診断法があり、各次診断法の特徴並びにその適用方法を考慮の上詳細に検討する必要があります。診断の結果、問題ありと判定された場合は、柱や梁の補強や耐震壁増設等、現行法のレベルまで耐震性能を引き上げる必要があります。
耐震診断の流れ

- 予備調査
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- 施主インタビュー
- 現地調査
- 必要図書の有無
- 耐震診断の必要性
- 診断レベルの選定
- 診断費用と期間
- 現地調査
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ひび割れなどの確認
- 設計図書
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- 特別調査
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建築設備の診断など



耐震診断 |
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判定 | 健全 or 耐震補強・総合リニューアル or 解体&建て替え |
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補強用部材一覧
制振補強部材
オイルダンパー(速度依存型)

減衰概要 :
ピストンの押し引きによる圧力差によりオイルがオリフィス(弁)を通過する時の抵抗力によりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力):φ100〜400mm[122.5〜2940kN]
特徴:・温度依存性が低い。
・弁の調整により特性の自由度が高い。(メーカーにより異なる)
メーカー: カヤバ工業/トキコ/三和テッキ/日立機材
備考:変位変換における摩擦力も減衰力として考慮している。
耐震補強部材
RC増築壁

特徴: 既存のフレーム内に鉄筋コンクリート(RC)壁を増築する工法
鉄骨ブレース補強

特徴:
既存の柱・梁に囲まれた所に鉄骨フレームをアンカーとスタットボルトで固定し、鉄骨ブレースを入れた工法
アンカーボルトの無い接着工法もある
鋼板壁補強

特徴:
既存の柱・梁に囲まれた所に鉄骨フレームをアンカーとスタットボルトで固定し、鋼板パネルによる耐震壁をはめ込んだ工法
メーカー: 大手鉄鋼メーカー
アンボンドブレース

特徴: 温度依存性が低い。弁の調整により特性の自由度が高い。(メーカーにより異なる)
メーカー: 大手鉄鋼メーカー
アウトフレームブレース補強

特徴:
建物の外側に耐震ブレース付きフレームを圧着する工法。
鉄骨ブレースタイプやPCaブレースタイプなどがある。
補強後に外観の見栄えが悪くなるが建物の外周から施工出来るので、施工中も建物の使用が可能。
炭素繊維巻き補強

特徴:
炭素繊維シートを柱に巻き付けることにより柱のせん断破壊を防止し、建物の耐震性能(耐力・変形性能)を向上させることが可能。
炭素を巻いた後も柱のサイズがほとんど変わらないため断面寸法の増加はわずか。
メーカー: MARS研究会/大手ゼネコン他多数
アラミド繊維巻き補強

特徴:
アラミド繊維シートを柱に巻き付けることにより柱のせん断破壊を防止し、建物の耐震性能(耐力・変形性能)を向上させることが可能繊維を巻いた後も柱のサイズがほとんど変わらないため断面寸法の増加はわずか。
炭素繊維補強と違い、柱の面取りや丸めづけなどの処理が不要。
メーカー: アラミド補強研究会他
鋼板巻き補強

特徴:
既存柱の周囲を鋼板で囲んで溶接し、柱と鋼板の隙間にモルタルを充填する。
一般的な工法で実績も多い。
施工後の柱サイズの増加、および重量の増加が多いのが難点。
SRF工法

特徴:
SRF繊維シート(ポリエステル)を柱に巻き付けることにより柱のせん断破壊を防止し、建物の耐震性能(耐力・変形性能)を向上させることが可能。
繊維を巻いた後も柱のサイズがほとんど変わらないため断面寸法の増加はわずか
炭素繊維・アラミド繊維と違い柔らかい。
強度で抵抗するのではなく、コンクリートと似た伸縮性能。
メーカー: SRF研究会
RC巻き立て補強

特徴:
既存RC柱の周りにRCの柱を付加して打設する。
この工法も鉄板巻き同様、断面・重量の増加が大きい。
