制震構造 制震構造

制振構造とは? 

制振構造は、地震のエネルギーを制振部材(ダンパー)で吸収することにより建物が負担する地震力を低減する構造形式です。建物の負担を低減するため、耐震構造に対して被害が小さくなるというメリットがあります。
ただし、免震構造とは違い、地震による加速度を低減する効果は期待出来ないため家具の転倒等、居住性は免震構造より劣ります。制振構造は主に高層RC住宅などの高層建築物に地震・風揺れ対策として用いられます。

大規模な地震に見舞われた場合

従来の『耐力構造』
従来の『耐力構造』

被害大

『制震構造』
『制振構造』

被害小

制振部材一覧 

制振デバイス

粘性体制振壁(速度依存型)

粘性体制震壁(速度依存型)

減衰概要:
 内部と外部鋼板との隙間に充填させた粘性体の抵抗力によりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力): 
 W×H:任意 ,幅250mm(116.4KN/m2 隙間4mm・10kine)
特徴:・減衰評価曲線が指数関数曲線である。
    ・面外変形にも容易に追従可能である。
    ・経年変化、劣化がない。
    ・せん断面積の調整により性能を自由に変えられる。
メーカー:オイレス工業/免制震デバイス

多層型粘性せん断ダンパー(速度依存型)

多層型粘性せん断ダンパー(速度依存型)

減衰概要:
 
鋼製の容器に抵抗板(固定板と可動板)を入れ、隙間に充填させた粘性体の抵抗力によりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力):
 
高さ・長さ:任意,幅:500mm程度[863KN 隙間1mm・10kine 450×1500×500]
特徴:・減衰評価曲線が指数関数曲線である。
    ・面外変形にも容易に追従可能である。
    ・経年変化、劣化がない。
    ・せん断面積の調整により性能を自由に変えられる。
メーカー:オイレス工業(MSD)
備考:粘性制振壁の姉妹品

減衰ゴマ(速度依存型)

減衰ゴマ(速度依存型)

減衰概要:
 
軸変形を回転運動に変換し、内外鋼管の隙間に充填させた粘弾性体の抵抗力によりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力):Φ98〜392mm[5.9〜1728KN]
特徴:・温度依存性が低い。
    ・回転数の調整により微少な変位にも効果がある。
    ・経年変化、劣化が少ない。
メーカー:免制震デバイス
備考:変位変換における摩擦力も減衰力として考慮している。

オイルダンパー(速度依存型)

オイルダンパー(速度依存型)

減衰概要:
 
ピストンの押し引きによる圧力差によりオイルがオリフィス(弁)を通過する時の抵抗力によりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力):Φ100〜400mm[30〜2000kN]
特徴:・温度依存性が低い。
    ・弁の調整により特性の自由度が高い。(メーカーにより異なる)
メーカー:
 
カヤバ工業/トキコ/三和テッキ/日立機材/明友エアマチック/新日鐵(エニダイン)
備考:変位変換における摩擦力も減衰力として考慮している。

粘弾性ブレース(速度依存型)

粘弾性ブレース(速度依存型)

減衰概要:外鋼板と内鋼板に挟まれた粘弾性体の抵抗力によりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力):□200〜400mm[490〜2000kN]
特徴:・面外変形にも容易に追従可能である。
    ・粘弾性体の厚さは5〜20mm程度である。
    ・変形制限:粘弾性体の厚さの400%
メーカー:
 
新日本製鐵(粘弾性ブレース)/東洋ゴム工業(ソフランVEM)/昭和電線電纜(粘弾 性ダンパー)/ブリヂストン(超塑性ラバーダンパー)/三和テッキ(VEMダンパ)/横浜ゴム/オイレス工業(CVD)
備考:軸変形ブレースタイプの他様々な形状に対応可能である。
     ・メーカーにより形状が大きく異なる。

低降伏点鋼パネル(ひずみ依存型)

低降伏点鋼パネル(ひずみ依存型)

減衰概要: 
 柱梁に囲まれた鋼板(低降伏点鋼)のせん断変形による履歴ループによりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力):フレーム全面・厚さ300〜400mm(梁幅と同幅程 度・リブを含む)
                 [0.82t/cm2 LYP100]
特徴: 高剛性を確保でき降伏耐力が大きい
メーカー:大手鉄鋼メーカー各社
備考:・座屈防止のためのリブが必要
    ・累積塑性倍率の確認が必要

低降伏点鋼間柱(ひずみ依存型)

低降伏点鋼間柱(ひずみ依存型

減衰概要:
 
間柱の一部を鋼板(低降伏点鋼)とし、そのせん断変形による履歴ループによりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力):
 
任意・厚さ300〜400mm(梁幅と同幅程度・ リブを含む)[0.82t/cm2 LYP100]
特徴:・全面壁タイプより変形を集中させるため エネルギーの吸収効率がよい
    ・低降伏点鋼が少なくて済む
メーカー:大手鉄鋼メーカー各社
備考:・幅と高さの関係は 1:1.5が理想的
    ・ピン接合タイプ:織本特許取得
    ・累積塑性倍率の確認が必要

アンボンドブレース(ひずみ依存型)

アンボンドブレース(ひずみ依存型)

減衰概要:座屈を防止した鋼材の軸変形による履歴ループによりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力):□50〜450mm [25×250mm 平均降伏耐力70t]
特徴: ・速度依存型の装置と比較し安価である
    ・低降伏点鋼が少なくて済む
メーカー: 新日本製鐵/住友金属/三井建設/三菱重工
備考: 鋼製のアンボンドブレースは性能の確認が必要
     積塑性倍率の確認が必要

鉛押し出し型ダンパー(ひずみ依存型)

鉛押し出し型ダンパー(ひずみ依存型)

減衰概要:
 
突起を持つロッド(鋼棒)がシリンダー内の鉛の中を動くときの抵抗力によりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力):Φ200〜300mm
特徴:・鉛の塑性流動性によるため歪み硬化が生じない
メーカー:オイレス工業(LSD)

スリットダンパー(ひずみ依存型)

スリットダンパー(ひずみ依存型

減衰概要:
 
穴のあいた鋼板のせん断変形による履歴ループによりエネルギーを吸収
装置の大きさ(減衰力): 任意
特徴:・普通鋼の使用が主であり歪み硬化を考慮しなくてよい
メーカー: 熊谷組/鹿島建設/三井建設

軟塑性体ダンパー

軟塑性体ダンパー

減衰概要:
 
シリンダー内の特殊充填材の流動抵抗力によりエネルギーを吸収する。ピストン、ロッド、特殊充填材とで構成される。
減衰力:147.0 〜 2,940.0kN
装置の大きさ(ストローク):Φ110.0×923(±100) 〜 Φ435.0×1,882(±100)
特徴:・減衰評価曲線が指数関数曲線である。
    ・経年変化、劣化が少ない。
    ・温度依存性が低い。
メーカー:オイレス工業(ビンカムダンパー)

鉛ダンパー(FLR)

鉛ダンパー(FLR)

減衰概要:
 
鉛プラグ挿入型積層ゴム支承を扁平にし、ゴム層を少なく鉛の占有率を大幅に増加した変位依存型の制震装置。
 上下階の層間変位を間柱などで装置に伝達し、鉛の塑性変形でエネルギ−吸収される。
装置の大きさ(減衰力):WxLxH=260x260x76.4〜380x760x88.4mm[300〜1300kN]
特徴:・無軸力下において安定した減衰性能を発揮
    ・微風に対しては鉛プラグの剛性で抵抗
    ・強風地震に対しては鉛の減衰力でエネルギ−を吸収
    ・60年以上の耐用年数
    ・大地震を何回経験しても取り替えが不要
    ・メンテナンスフリー
メーカー:制震デバイス

摩擦ダンパー

摩擦ダンパー

減衰概要:
 
ダンパー内部の金属製ロットとロットを挿入したダイスの間に摩擦力が発生し振動エネルギーを吸収する。
装置の大きさ(減衰力):摩擦力 100kN〜400kN ストローク±50mm〜±100mm
特徴:・初期剛性が高く、二次勾配が平坦な完全な弾塑性形
    ・温度依存性あり
メーカー:巴コーポレーション

オイルダンパ−+増幅装置

オイルダンパ−+増幅装置

減衰概要:
 
減衰方法は、オイルダンパーと同じ。ダンパー等に作用する速度を増幅させ減衰力を高める工夫をしている。
装置の大きさ(減衰力):オイルダンパーに準ずる
特徴:・増幅機構により微少変形でも高い減衰力が得られる
    ・その他はオイルダンパーと同じ
    ・増幅装置の信頼度が問題となる
メーカー:大成建設/飛島建設/川田工業/i2S2
備考:ゼネコンに考案された増幅装置が多い。

軟塑性体ダンパ−

軟塑性体ダンパ−

減衰概要:
 
シリンダ−内の特殊充填材の流動抵抗力によりエネルギ−を吸収する。ピストン、ロッド、特殊充填材とで構成される。
装置の大きさ(減衰力):147.0〜2940.0 φ110.0×923±100〜φ435.0×1,882±100
特徴:・減衰評価曲線が指数関数曲線である。
    ・経年変化、劣化が少ない
    ・温度依存性が低い
    ・コンパクトで大きな減衰力が得られる。
    ・周期依存性がある
    ・初期勾配が大きいために風に対する効果が発揮されない
メーカー:オイレス工業
備考:球面継手の現場溶接は、他社が取得している

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