免震構造とは?
免震構造は建物と地盤の間に積層ゴムなどの柔らかい部材を置くことにより地震のエネルギーを吸収する構造形式を示します。免震構造は、建物の地震被害を少なくすることはもちろん、地震による加速度も抑えられるため、家具などの転倒もありません。また、従来では大変だった複雑な建物も経済的に設計出来るようになります。
- 従来型耐震構造
- 免震構造
- 免震防振構造
大規模な地震に見舞われた場合
- 従来の『耐力構造』

被害大
- 『免震構造』

被害小
免震システムによる架構形式
- 偏心建物
- コンクリ-トウォ-ル+鉄骨フレ-ム
- 鉄骨フレ-ム+PCaカ-テンウォ-ル
- RC+祖積造+鉄骨フレ-ム(混構造)
- フラットスラブ+ブレ-スまたはPCa剛性材
- 層のはっきりしないもの
- 軌道上空ビル
- 免震人工地盤
免震部材一覧
免震支承
天然ゴム系積層ゴム

装置の大きさ: 500 〜 1500mmφ・600〜1500mm□
特徴:
履歴特性は、軸力の変動や変位 履歴による依存性がほとんどない。
微小変形から大変形まで安定し たバネ特性を示す。
メーカー:
オイレス工業/倉敷ゴム/昭和電線電纜/東洋ゴム/ブリヂストン/免制震デバイス( DIS社製作 )/横浜ゴム/ニッタ/バンド−化学
□型は、オイレス工業のみ
高減衰積層ゴム

装置の大きさ: 500〜1500mmφ
特徴:
ゴム材料に特殊配合のゴムを使用することで、ゴム材料の粘性を高くして、それ自身でエネルギー吸収を行う減衰機能一体型である。
省スペース型であり、施工性の利点を有している。
メーカー: 東洋ゴム/ブリヂストン/横浜ゴム
鉛プラグ挿入型積層ゴム

装置の大きさ: 500〜1500mmφ・600〜1500mm□
特徴:
内部の鉛プラグが純せん断に近い変形で塑性変形することによりエネルギーを吸収する減衰部材内蔵型の積層ゴムである。
繰り返し変形に対しても安定したエネルギー吸収能力を発揮できる。
エネルギー吸収機能一体型であるため省スペース型であり、施工性上の利点を有している。
メーカー:
オイレス工業/ブリヂストン/免制震デバイス(DIS社製作)/昭和電線電纜ニッタ/バンド−化学
□型は、オイレス工業のみ
弾性すべり支承

装置の大きさ:130〜1500mmφ(大きさは、自由に制作可能)
特徴:
摩擦によるエネルギー吸収によって地震力を低減する。
中小地震時には積層ゴムが弾性変形する。
大地震時にはすべりを生じ、周期特性を長くすることにより地震力を低減する。
すべり現象には固有周期がないため、あらゆる周期の地震波に対して共振することはない。
メーカー:オイレス工業/東京ファブリック/日本ピラー工業/ブリヂストン/昭和電線電纜横浜ゴム/免制震デバイス/NTN精密樹脂
オイレス式転がり支承(CRB)

装置の許容支持力: 1800〜11700kN
特徴:
わずかに偏心させて結合された半径の異なるローラーが、平行な上下レールの間に設置された構造となっている。
固有周期が建物の重量に影響されず、周期のゆっくりした揺れにも有効で ある。
摩擦係数が3/1000程度と小さく復元力特性が非線形型のため共振することがなく高い免震効果が得られる。
少ないクリアランスで長周期化がはかれる。
メーカー:オイレス工業(住都公団・奥村組共同開発)
転がりローラー支承

装置の許容支持力: 113〜7649×4kN
特徴:
ボールベアリング等を利用して滑動する装置(リニアベアリング)をクロス上に組み立てた構造となっている。
摩擦係数が1/1000〜12/1000程度と小さく、特定の周期の地震波に対し強く感応することが少ない。
引き抜き抵抗力を有しているため、塔状建物にも適用が可能である。(P'=0.4P程度)
メーカー:免制震デバイス(THK社製作)
免震用ダンパー
オイルダンパー

減衰概要:
ピストンの押し引きでオイルが弁を通過する時に発生する減衰力によりエネルギを吸収する。
減衰力は、弁の調整により変化する。
オイルの圧縮性により、初期剛性は多少ばらつく。
減衰力:15 〜1500kN
装置の大きさ(ストローク):φ95×335(±200) 〜 φ559×2820(±400)mm
特徴:温度依存性が低い
メーカー:カヤバ工業/明友エアマチック(Taylor社:米)/トキコ/三和デッキ
粘性体制震壁

減衰概要:
内・外部鋼板の隙間に充填させた粘性体の減衰力によりエネルギーを吸収する。
減衰力は装置の大きさで調整する。(粘性体にふれる有効面積とせん断隙間により変動。)
減衰力:160.1〜943.2kN
装置の大きさ(ストローク): 幅:3470〜4420mm(±500mm)
特徴: ・減衰評価曲線が指数関数曲線である。
・経年変化、劣化が少ない。
メーカー: オイレス工業/免制震デバイス
減衰ゴマ

減衰概要:
ボールベアリングにより軸変形を回転運動に変換、層間速度を増幅させ、鋼管の隙間に充填させた粘性体の抵抗力によりエネルギーを吸収する。
減衰力: 5.9 〜1728kN
装置の大きさ(ストローク): φ98×732(±500) 〜 φ392×3636(±1000)
特徴: ・温度依存性が低い。
・比較的コンパクトで大きな減衰力を得られる。
・経年変化、劣化が少ない。
・減衰力の設定は、自由度が高い。
メーカー:免制震デバイス
鋼棒ダンパー

減衰概要:
鋼棒ダンパーは特殊鋼材を鋳造により一体成形、熱処理したロッドから構成され、変形によりエネルギー吸収する。
減衰力: 265.0 〜 392.0kN
装置の大きさ(ストローク): φ70, φ90□ 1,235×320 , □2177×490
特徴:・免震層の降伏耐力の設定に、比較的自由度がある。
・安定した履歴特性を有する。
メーカー: 新日本製鐵/巴コーポレーション
鉛ダンパー

減衰概要:
鉛の剛塑性的な特質により、耐力の限界点に達すると極めて柔らかく変形し、エネルギーを吸収する。
減衰力: 90 ・ 220kN
装置の大きさ(ストローク): φ180 ・ 260 □500×924 ・□750×924
特徴: ・免震層の降伏耐力の設定に、比較的自由度がある。
・特に安定した履歴特性を有する。
・小規模免震建物に有効である。
メーカー: 住友金属鉱山
U型ダンパー

減衰概要:
建築用鋼材(SN490B)を使用し、熱処理加工したU型の鋼板を組合わせて、変形によりエネルギーを吸収する。
減衰力:112 〜 608kN
特徴:・サイズ、本数、配置、組み合わせを自由に選択できることで、免震層の復元力の個別の設定ができる。
・積層ゴム一体型があり、スペースの問題は軽減されている。(別置きも可。)
メーカー:新日本製鐵/住友金属鉱山/巴コーポレーション
